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真夏が過ぎて朝晩が冷え込むようになり、秋に入り込んだ事を実感するようになると無性に故郷の空が恋しくなって来るのは、人の心が殺風景さから外れて、しごく濃密な関係を求め始めて来ているからかも知れないとそう、オレは思っている。懐かしい光景の中に誰かが、優しく引き込んでくれて元の原点に戻り得る事は、願ってもない素敵な事なのだ。それは、自分に疑問を抱いて、旅に出た時の場所へと辿り付けるそういう何かを孕んでいるようにも思えて来てならない。・・・<どうしてオレは、今ある自分に不満足を持っているのだろうか?もっと、違う生き方を押し堪えて生きて行く事は何とも苦渋に満ちあふれていると考えるからこそ、密かに結ばれているモノを打ち切って、飛び出してしまったんだ。そして、それが自分らしい自由な姿だと思えて来て、心の何処か似喜びが浮かんで、随分と長い期間を夢の様な世界に没入をして、あからさまにむさぼりながら、遊び歩いた事だろうか?>・・・最初は、オレの願っているモノに夢中でのめり込んで、それがオレの本当の人生であると、満ち足りた気持ちで突っ走る事が出来ただろうか?寂しく傷ついた感情を癒してくれるあれやこれやに、抵抗もなく入り込んだモノだ。心の空洞には風が吹き荒ぶように通り過ぎていた。其処に光が射す度に、歓喜が舞い踊るような心地だったと、そう思われても来る。細くやつれた生き方の糸がそういう苦悩の集まりの中でまた、息を吹き返すみたいなそんな感覚で別の大空を目指す夢で心ははち切れそうになっていたなあ。・・・そうそれはオレがまだ蒼い身体で存在をしていた時の願望の固まりだったんだ。真夏の空は人の心に熱情を燃やし立てるのかも知れない。孤独な心の叫びが求め続ける関係の全体が、人の普通の日常にはない何かを見せつけてオレを魅了していたようでもあるんだ。それは不思議な心の安定感をももたらしていたように見えて来る。自分の本音を晒し出せる世界は確かにオレの心を満足させていたんだなあ。・・・だけど、深く深くその自分を庇ってくれていた夢の何処かに亀裂が走った時、脆く音を立てながら頽れて行く最初の歓喜とときめきに満ちていたモノの幻影に肩を落としてしまうのもまた自分の運命だろうかと何処かで気づいてもいるんだ。ああ、何とも灰色に満ちあふれている事だろうか?何処まで行っても、その頽れた傷口から流れ出す挫折の辛さはオレを、暗い闇の底に身体ごと横たえようともするんだ。自分が喜び勇んで入り込み気持ちの総てを注いだ事がつまらないモノに見えて来て、繰り返し繰り返しため息を付いている。悲しみが後から後からあふれ出して来て、止まりようもなくオレを苦しめ続ける。・・・<オレが一心不乱で求め続けていたモノは一体、何なのだろうか?それ程、世の中にあって軽々しい事柄だったのだろうか?誰が引き留めてくれるでもない空白の空間に浮かんでぼんやりしているみたいなのは、何とも辛い事だ。>・・・真夏の日射しも何時までも照り続ける訳でもない。やがて急速に冷めて行く時に至るのだ。絆で結ばれていたような気分が薄れて、また孤独な空を見上げているじゃあないか!とどのつまりが、それ以上の踏み出しを
許され得ない儘、オレを非在のモノとしようとしているんだ。秋風が顔を撫でて通り過ぎるようになる時、心から願うのは元の古巣へ帰れないかというただそれだけの単純な事だ。もう、オレは故郷を逃げる様に出た時のオレじゃあない。オレはオレなりに大人にはなってはいるけれども、拭い切れない荷物を背負ってもいるんだ。切に望む事は、昔の自分に戻って熟睡の出来る風景に溶け込んで行きたい。それは寂しさに包まれてはいても、オレの屈折した心を少しは和らげてくれる様なそんなモノでもある。まだ、その切符を手にする事は可能だろうか?戻れるものなら戻って見たいという気持ちが湧いて来て性がないんだぜ。
えいぞう
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