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今、不思議な秋を通り過ぎている。真夏の余韻と秋の紅葉と冷えから察する冬の予感とが、混在をして存在をしているみたいな毎日を送っている。何時の間にか半袖では寒くなってしまって、慌てて長袖に着替えて繰り返しの生活に追われているんだ。新型インフルエンザ(H1N1)が今年から来年にかけて、流行する気配を感じながら窓の外を眺めていると、徐々にあの真夏のギラギラした印象が薄らいで来ているのも分かる。真夏はオレにとってはもう、世の幻に近くなって来ているんだ。思いっきり青空の下で、生きている実感を感じ取ろうとしても、日々の仕事にせかされて遠く遠くなって来ているのは確かなんだぜ。若い時は真っ盛りの太陽の下で、真夏と一つであったような気分が、歳とともに部屋での安らぎに変わりつつもある。勿論、熱い日射しを見つめていると切なくなる事も多いけれど、どうしてもオレにはこなさないといけないノルマが目の前に立ち塞がっているんだ。真夏だから出来得る仕事もあるし、自分の周りをきちんとするには、かなりの注意を払わないといけないのも本当の話なんだ。日射しが緩んで、また活動的な季節に突入をした。出来るだけこの過ごしやすい時期に、やれるだけの事をやっておこうとも考えてもいる。真夏を境に国の方針もだんだん、変革を始めて来ている。この波に乗って生きて行けなければ、何処かで行きづまってしまうのは、眼に見えてもいるなあ。風はどっち向きに吹いているんだろうか?自分の立ち向かって行く方角はあっているのだろうか?ずっと真剣に頭をひねっているんだ。・・・そんな折り、カレから遊びに来ないかとメールがあった。カレの住んでいる地方はもう紅葉が見頃で、朝晩は暖房器具を使い始めているからとの事だった。カレは、栗園を持っている。<夏の間は、草刈りで大変だったけど、もう栗がいっぱい実っているからそれを落として、拾うのも楽しみだよ。>・・・と書いてある。何時までも忘れずにオレと一緒にこの時代を渡って欲しいモノだ。赤や黄色の紅葉がオレの住んでいる地方にまで広がって来るまでには時間がある。おそらく今年も暖冬だろうから、ハッキリとした紅葉は見れないかも知れない。カレは日本アルプスに近い所に住んでいるんだ。きっと何処までも奥深い化粧をした森が続いている事だろ。紅葉の森をカレと歩いて見るのもまた良い事だ。しっかりと着込んで金色にも鮮やかな錦の朱にも輝く世界を旅して見たい。オレもカレも本当に寂しがり屋なんだ。きっと気分が合うから交際が続いているんだろうと思われて来る。何とも彩られた世界で二人が心を合わせていられる事は、小躍りする気持ちが募って来るみたいだぜ。派手な色合いの中でしんみりと心を触れ合わせるのも切に望まれる事なんだ。風の音もカレの吐息に聞こえて来る。お互いがお互いを求め合って鮮やかな森の奥深くで温もって行くのもまた格別な感覚を伴っているみたいだ。以前は、真夏が来るのを今か今かと楽しんでいたけど、もう平常の開放された思いで海を見つめる事も、山の緑を楽しむ事も難しくなっている。生活のパターン自体がそうのんびりともしてはいられないんだ。真夏は裸を晒してお互いを確かめ合うようなイメージが強かったけど、また紅葉の世界に呑み込まれて静かな中にも燃えるような秋の薫りを楽しむのも素敵だと思えるよ。カレのメールに今度、<尋ねて行くからよろしく頼むよ。>と、伝言を打ち込んで置こう。冬は冬でまた仕事が多くなって来る。こういう時間の空き方のパターンでは、夏日の春と今のような秋こそ絶対に温厚を温められるチャンスに違いないんだ。カレは何時もオレの事を心配してくれている。それが何より嬉しいんだ。人と人とが距離が希薄になったり過当競争に放り込まれて行く時代にも、心から親交を深められる事が出来るのは何とも素晴らしい事だと実感もしているよ。もうじき、カレの住んでる街までの切符を買おうと思っているんだ。新幹線と乗り継いでカレの住んでいる街まで尋ねて行こう。どんなに喜んでくれる事だろうか。オレもその日が待ち遠しく思えて来ている。真夏の太陽にいたぶられた分だけ、しっかりと身体を休めて来ようと考えてもいるんだ。きっと見事に色づいた樹樹はざわざわと騒ぎ立てるだろう。いや、日の光に宝石のように輝きを放つかも知れないんだ。きっと、良いことがあるような気分がしてもいるよ。何処を見てもカレといるだけで、眼を奪われるような時を過ごすことが出来るに違いないからだよ。何時も部屋の中で夢想をして過ごしているオレも晴れやかな外の空気で、ようよう浄められるのかも知れない。広い世間とは言え、なかなかカレ程、オレと呼吸が合うヤツもいないんだぜ。
えいぞう
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