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海峡を渡る風   ###

 投稿者:えいぞう  投稿日:2009年11月 5日(木)06時27分44秒
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  札幌に雪虫が飛びだしたと聞いたのは、ついこの間の事なんだ。それは、北海道に冬を告げる印で、北の大地に長い雪の季節を知らせる徴候でもある。北海道は2度、行った事がある。随分と昔の話だけど、広々とした何処までも続く世界に憧れて、足を踏み下ろしたんだ。函館で夜景を楽しんだり、五稜郭を散策して明治維新の後を想像したりラーメンを食べながら自分が住んでいる世界とは違う匂いに親しんだモノだ。何時かトラピスト修道院に見惚れた事もある。函館だけでも、心を満喫するモノはいくらでもあった。それは本土にはない何かの文化が根付いているからだ。函館を過ぎるといくらも存在する自然の大きさに感動しながら、観光して楽しんだ。とても好きなのが、やっぱり札幌で大通り公園から時計台、北大の道、・・・碁盤の目に組まれている通りの道路の大きいことに感心しながら、友達と寝起きをしたことを思い出す。小樽も良かった。釧路も好きな街だし知床から網走にいたる自然の美しさにこれだから北海道は、オレを魅了しているんだと思いながら、旅に明け暮れた事を思い出す。何ともスケールの違う大地だことだと考えても見ているし、今も北海道は開拓の精神が漲っている所だと思い返しても見る。それから長い年月が流れた。当時はオレは、青森県の弘前に住んで学生時代を送っており、クラブでボート部に入部して、青森湾でボートの練習に余念がなかった。何時も、青函連絡船が出て行くのを見ながら、切なさも感じていた。まだ、若い悩みに頭を悩ませていた頃で、青森の港から連絡船が出航して行くのを見る度に、自分の生き方にジレンマを浮かべていたモノだ。青函連絡船に乗った時には、まだ見ぬ大地に足を踏み下ろす夢でワクワクしていたのも確かだ。海峡を渡る時には、何か特別な感情が駆け抜けるような気もして来る。恋だの愛だのとは胸には宿ってはいないオレにも、青春の哀愁にも似た感覚が芽生えていたようだ。うっすらと雪化粧をした、青森の半島の様子を眺めているとき、自分は誰かとの出逢いを望んでいるのか、広漠とした別天地に行き着きたいと願っているのか混同しそうになっていたのも確かだ。本土には本土なりのオレの生き方があり、それを続けていればそれなりに過ごせるのに、もっと自分から脱皮したい思いで渡る海峡の風には、戸惑いさへも感じ取っていたのは本当の所だ。今ある自分から逃げ出したかったからかも知れない。それより、男性的な魅力に満ちている北の自然の中で、自分を見つめ直して見たかったのかも知れない。青春は迷いが付き物なのは当然だ。急に自分が分からなくなる事だってある。そういう重責に押しつぶされそうになることから、解放されることは、若い心にはありがたい事だった。オレがどうして故郷を離れて弘前で青春を送ろうと決意したのかさへ、しみじみと分かってくるみたいだった。その青函連絡船が現実から消えてしまった時には、残念な感じがした。青函連絡連絡船はそれなりに心に蟠るモノとの対決の証しでもあったんだ。今は、青函トンネルを抜けて、北海道に渡るようになっている。ことに便利に行き来が出来るようになったモノだとは思うけど、連絡船に乗ると言うことは、何か1大決意をするときの自分が巡って来るみたいで、長い船旅で、1夜を其処で寝て過ごすのだけど、
それぞれの人の匂いもしてさながら人生模様の坩堝と行った感覚も覚えたような気がするよ。未だに北海道には数人の友達がいて心で繋がっている。それがまた、オレには嬉しいんだ。今、住んでいる瀬戸内の街とは全然、違う色合いに満ちているけど、歳を取るにつれ懐かしく思われて来る。
シベリア颪が吹き荒れている中で、厳しい自然に耐えながら生きることはまた、自分を鼓舞する何ものかが存在をしている。ココにはアイヌの人達も住んでいるし、稚内の方にはロシア人が多く渡って来ている。流氷が接岸する頃にはオレの好きなクリオネが海を泳いでいる。人生にはいろんな事が待ち受けているけど、こういう雪に閉ざされた広大な大地で生きる魂を培うのもまた、自分の為になるのではないのかとも考え直しているんだ。懐かしさに稚内からロシアの有名な人形のマトリョーシカを送ってもらった事がある。ロシアは更に厳しい気候の世界だ。その人形を見ていると、心が張りつめて来る気がするんだぜ。・・・本当に不可思議な時代に入り込んだ。生き方を工夫しないと、明日のオレさへ見失ってしまいそうだ。それだけ世の中も厳しい時代に突入をしたモノだと、思い返す。海峡を渡る時のセンチメンタルな気持ちでは生き抜いてはいられない。自分の人生を全うするには、自分が持っている職を要領よく、また真剣にこなして行かないといけないんだ。流浪の時とは違う感覚で、北の大地をまた見つめ直してもいる。弱音を吐きそうな自分に喝を入れる為だ。流されていたのでは何時まで経ってもオレは弱い人間で終わってしまう。それを一生懸命に考えている。下関から釜山に向かう連絡船にもまた人々の様々な思いが込められている。韓流スターが一世を風靡している現代にあても、在日朝鮮人の人達にもまた、海峡を渡るとき、胸を過ぎるモノがあるのじゃあないだろうか?日本からの観光客が増えたとは言え、まだまだ、韓国はオレには馴染みの薄い土地だ。在日朝鮮人の人達の苦労も分かる気がするよ。何処かに日本人とは違う生き方の慣習を持って1日、1日を一生懸命に生きてもいるんだ。日本人の目からした在日韓国人の見方が変わっても相変わらずの哀愁を帯びたドラマを持っている。精神が固定するにはどうしたら良いのだろうか?挫折しては、海峡を渡り、自分を立て直す人達も多いに決まっている。何だか津軽海峡を渡った時のオレがまた、自分に囁いて来るみたいでもあるんだ。季節柄、自分を見直す時に入りかけてもいるんだなあ。どうあってもオレはオレの意思を貫いて生きても行きたいんだ。海峡がその目の前にちらつく間、ずっと歳なりの疑問と戦いながら暮らして行こうと考えているよ。
            えいぞう

http://pocket.jp/

 
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